Life on a long and winding road.「長く曲がりくねった道の上の人生」vol.3
⑤夢破れて正社員の道へ
母の法事が終わり、父親はうつ状態に陥り、弟はまだ中学生。このとき私は、悲しむ余裕もありませんでした。しかし、生きていくためにはお金が必要です。家賃、生活費、光熱費、弟の学費…などが迫ってきます。
幼少期には兄がいましたが、複雑な事情があり、実は養子だと小学生の時に父親から知らされました。頼ろうにも、その兄は行方不明。現状では生活は成り立たず、放っておけば家庭崩壊は避けられない状況でした。最悪の事態を避けるために求人誌を手に取り、綿密に調べました。高給の仕事は内容が過酷だったり、夜勤だったり、拘束時間が長いものばかりです。
求人誌を見ていると、新規グランドオープンのパチンコ店で正社員が月給25万円、労働時間は休憩込みで8.5時間。アルバイトは早番が時給1100円、遅番が時給1200円という条件を見つけました。
中学生のときは運動部に所属し、高校では毎日筋トレをしていて、格闘技の経験も多少あるので、体力・気力ともに充実していました。接客業は初めてですが、背に腹は代えられない。つまらないプライドは捨てて、自宅から少し遠いのは難点ですが、新規店舗ならみな一緒のスタートだし、案外向いているかもしれないと考えました。
小学生の頃、父親に連れて行ってもらった場所といえばパチンコ屋。今は子連れでの入店は禁止されていますが、当時は規制が緩く、買い物前にパチンコ店に立ち寄って父親の隣で一緒に打っていました。その習慣は中学生、高校生になっても続きました。大体の仕事内容はイメージし易い。そして、面接をクリアし、正社員候補として採用されました。
Ⅴ.激動の環境で学べたこと
強化された責任感と強さ:家族を支えなければならないという強い責任感と、そのために困難に立ち向かう強さは、他ではなかなか得られないものです。
適応力と柔軟性:状況に応じて自分を変え、最善の方法を見つける力を培っています。どんな困難な状況でも、適応することで乗り越えられると感じるでしょう。
共感力:家族の辛さや困難を目の当たりにすることで、人の気持ちに寄り添う力が強まります。将来的に、他人を理解し、サポートする能力が増すことでしょう。
強い信念と生きるという執着心:人それぞれ異なる答えがあると思いますが、全力で生きることは、その答えのひとつだと感じます。人生の意義を見つけるためには、試練や喜びを経て得られる経験や成長が大切だと考えます。
どんな状況でも前向きに捉える思考:死中に活を求める。どんな状況でも決してあきらめない。
⑥初めての役職とワーカーホリックの兆し
こうしてパチンコ店に入社してから半月ほどで正社員になりました。幸運にも直属の主任に目をかけてもらい、入社して半年も経たないうちに最年少で役職に就くことができました。
仕事内容は、店内の巡回、不正客の監視、従業員の教育、両替機の補充、遊技台のメンテナンス、クレーマーの対応、営業日報の作成(総売上・粗利の計算)、新台入替時の台のチェックなど多岐にわたりました。覚えることはたくさんありましたが、接客業は思った以上に奥が深く、面白い経験でした。
私は物事を覚えるのに時間がかかりますが、一度覚えたことは応用が容易にできる特性がありました。また、遊技台や設備の修理を通して、手先が器用だということにも気づかされました。自分の新たな一面に気づき、母を亡くした悲しみを埋めるかのように仕事に没頭していきました。今思えば、当時の行動や言動には若さゆえに少々天狗になっていた面もあったかもしれません。
数年が経過し、毎月の残業時間は100時間を超え、休みもろくに取れないことに不満が募り、仕事終わりはほぼ毎日飲んでいました。そして、ある店長と方針が合わず、周りからは引き止められましたが違う店舗で働くことにしました。有給なし・賞与なしの上に経理はずさんでした。
こうして違うお店で正社員として入社し、上司からの推薦ですぐに役職に就きました。そんな中で1年が経過し、違う店舗から異動してきた上司に自分の仕事ぶりを認められました。実家の様子は相変わらずでしたが、父親が家事をやるようになったとのこと。武勇伝のような事は割愛しますが、数年後、店舗をリニューアルするタイミングで主任に昇格しました。仕事量が増え激務を極め、毎日栄養ドリンクを飲むことが習慣になり、毎晩仕事終わりに飲酒することが常態化していました。そして、休みの日も近隣の店舗の視察を行い、仕事と休みの境界線があやふやになっていました。今思えばこの時から少しづつ自律神経が乱れていき、心労が溜まって限界寸前になっていました。
Ⅵ.仕事に没頭する事で学べたこと
更に強化された責任感と強さ:家族を支えなければならないという強い責任感と、そのために困難に立ち向かう強さは、他ではなかなか得られないものです。
適応力と柔軟性:状況に応じて自分を変え、最善の方法を見つける力を培っています。どんな困難な状況でも、想定外のトラブルにおいても、適応することで乗り越えられると感じるでしょう。
短時間での状況把握:お客様の行動をすばやくチェックして何を求めているか推察する、また従業員の対応方法や勤務態度を確認。慣れてくると一瞬で状況把握が出来る様になりました。
自己発見:多忙な中でも自分の新たな特性や能力に気づくことができました。office系のソフト・POP作成は全て我流で覚える事が出来ました。
従業員の教育:父親を反面教師とする事で、決して頭ごなしに感情的に怒鳴る事はしませんでした。また課題をこなした時は大げさなくらい褒めて、失敗した時は何がいけなかったのかを当事者と一緒に考える事が出来ました。
共感力とサポート:家族の辛さや困難を目の当たりにすることで、人の気持ちに寄り添う力が強まります。将来的に、他人を理解し、サポートする能力が増すことでしょう。食事もままならない従業員にはご飯に連れて行って、苦労話を聞く様にしていました。
強い信念と生きるという執着心:人それぞれ異なる答えがあると思いますが、全力で生きることは、その答えのひとつだと感じます。人生の意義を見つけるためには、試練や喜びを経て得られる経験や成長が大切だと考えます。
どんな状況でも前向きに捉える思考:死中に活を求める。どんな状況でも決してあきらめない。
…to be continued