Life on a long and winding road.「長く曲がりくねった道の上の人生」vol.2

目次

③2回目の転機

父方の祖母の介護のために、私が高校1年生の時に母と弟と3人で北海道の実家へ引っ越しました。寝てばかりの父親がようやく自営業を再開し、しばらくは比較的平穏だったと記憶しています。しかし、それはあくまでも表向きに過ぎませんでした。『良い妻』を演じる母は祖母の介護と家事を一人でこなし、疲れ果てていました。父親と話し合いの結果、再び元の家に戻ることになりました。

私は地元の高校に戻り、日々「抗がん剤の副作用を少しでも減らせないだろうか?あるいは副作用の少ない新しい治療法を確立できないだろうか?」と考えるようになりました。その思いは次第に強くなり、医療系の大学に進学したいと考えるようになりました。

高校では特に理系の科目が得意で、生物は常に満点を取り、化学でも毎回上位に入っていました。中学時代から理科だけは他の教科と違い、誰にも負けたくないと思っていた唯一の得意分野でした。その次は数学くらいで、他の教科には一切興味が湧きませんでした。クラスで一番の成績を収めた時も、父親は決して褒めてくれたことはありませんでした。

私が希望した学部は、とある医療系大学の「臨床検査学部」と「薬学部」でした。幼少期から習い事は一切やらせてもらえませんでしたし、塾に通う経済的な余裕もありませんでした。朝は高校に通学し、授業が終わるとアルバイトを2件こなし、帰宅後にようやく受験勉強をしていました。

Ⅲ.青年期後期で学んだ事

時間管理と優先順位付け:アルバイト、受験勉強、家族のケアを両立させるためには、時間管理が非常に重要です。スケジュールを立てて、優先順位をつけることで、効率的に動けるようになります。

ストレス管理:ストレスを感じることは避けられませんが、リラックスする方法を見つけることが大切です。例えば、短い瞑想や深呼吸、軽い運動などが効果的です。

サポートを求めること:友人や学校のカウンセラー、地域の支援団体など、周囲のサポートを積極的に求めることも重要です。話すことで気持ちが軽くなることもあります。

経済的支援の活用:日本には、がん患者やその家族を支援するための経済的な制度がいくつかあります。例えば、高額療養費制度や傷病手当金など。これらの制度を活用することで、経済的な負担を軽減できるかもしれません。

自己肯定感の向上:自分がどれだけ頑張っているかを認識し、自分を褒めることも大切です。小さな成功や進歩を喜び、自分を励ますことで、モチベーションを維持できます。

④最大の転機

家計を支えながら勉強していましたが、初の大学受験は残念ながら力及ばず不合格でした。言い訳をするなら、いくら勉強しても圧倒的に時間が足りませんでした。お世辞にも高校は進学校とは言えず、進学クラスの授業内容も参考書の基礎程度でした。

これまでの生活環境から自分が学んだ強みは『忍耐力』と『適応力』です。諦めなければ、心が折れていないならば、何度でも挑戦すればいいだけの話。今度はやり方を工夫してみよう、そう思っていた矢先に母が倒れました。毎月通院して検査を受け、副作用に耐えながら抗がん剤治療もしていました。すぐに病院で検査して、そのまま入院することになりました。

そして父親と私は主治医から話を聞くことに。それはあまりにも残酷な現実でした。『癌が全身に転移しています。大変申し上げにくいのですが、余命は長くても3カ月です』。あまりにも凄惨なので敢えて詳細は省きますが、3カ月も経たずに、母は眠るようにこの世を去りました。

未だにこの時の映像は全て鮮明に目に焼き付いています。それは時としてフラッシュバックし、未だに罪の意識に悩まされます。医学とは一体何だろう?私は何もしてあげられなかった。親孝行もできなかった。自分の不甲斐なさにただ後悔しかありませんでした。それでも最後の最後まで闘病していた姿は間近で見ていました。

法事を終えてから、父親は昼間でも電気を消して過ごすことが多くなっていました。父親から一言、『大学受験は諦めて頼むから働いてくれ』と。この人は本当に私の父親なのか?教師から奨学金も勧められましたが、現状では生活費を稼ぎ家計を支える人間がいなくなってしまう。この時点で自分には選択肢はありませんでした。本当にやりたかったことなのに、自分の夢だったはずなのに、あっさりと終わりを告げました。

Ⅳ.家族を失い夢を諦める事で学べた事

柔軟性と適応力: 予期せぬ状況に対処する力を身につけることができます。これらのスキルは、将来のどんな仕事や生活の中でも役立ちます。

更に強化された責任感: 家族を支えるために進学を諦めて就職するという決断は、大きな責任感を示しています。この経験は、あなたの信頼性とリーダーシップを高めるでしょう。

時間管理と優先順位付け: 学業と仕事、家庭のバランスを取るために、時間管理や優先順位付けのスキルが自然と身につくでしょう。

自己成長と自己認識: 自分の限界や強みを知る機会になります。困難な状況を乗り越えることで、自信と自己成長を感じることができるでしょう。

感謝と共感: 家族や周囲の人々の支えに感謝し、他人の苦労や困難に対する共感力が高まるでしょう。

病院での検査:病院での検査の精度は100%ではありません。精度を高める為にいくつかの検査を行う必要があります。

to be continued

目次