Life on a long and winding road.「長く曲がりくねった道の上の人生」vol.9

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第16章:人との接し方

地域活動支援センターに通い始めた当初は緊張していましたが、数日もすれば周囲の環境にすっかり慣れました。幼い頃から父親の機嫌を損ねないように、人の言動を細かく観察する癖が身についていたことが、その早さに繋がったのかもしれません。

例えば、相手の表情や話すトーンから、何を考えているのかを察知するなど、人とのコミュニケーションにおいては鋭い感覚を養ってきたように思います。メールの文章からも、相手の返信の速さや言葉遣いから、その人の心情を推し量ってしまうことがあります。おかげで、以前の接客業では、お客様の要望を的確に捉え、満足度の高いサービスを提供することができました。

しかし、普段の生活では、相手の気持ちを考えすぎてしまい、コミュニケーションがかえって難しくなることもありました。周囲に気を使いすぎて、自分自身が疲弊してしまうことも少なくありませんでした。

センターでの軽作業は、最初は新鮮でしたが、日が経つにつれ、単調な作業に飽きてしまい、集中力が続かないことに気付きました。そこで、自分の得意なことや苦手なことを明確にするために、積極的に様々な作業に挑戦してみることにしました。

基本的には軽作業が中心ですが、ポスティングや箱折り、公園清掃など、様々な業務を経験しました。特徴的な作業もありましたが、個人の特定を防ぐため、ここでは割愛します。

そして、待望の給料日。以前の仕事に比べると金額は少なかったですが、働いてお金を得る喜びは何物にも代えがたいものでした。久しぶりに感じた、充実感でした。

久々の労働で収入を得た経験で学べたこと

1.コミュニケーション能力に関する学び

  • 人の観察力と共感力: 幼少期からの経験により、相手の表情や言動から、その人の気持ちを読み取る能力が養われている。
  • コミュニケーションの多様性: 会話だけでなく、メールなどの文章からも相手の気持ちを理解できる。
  • コミュニケーションの二面性: 周囲への配慮は大切だが、過度な意識はかえってコミュニケーションを難しくする可能性がある。
  • コミュニケーション能力の活かし方: 接客業での経験のように、相手の気持ちを理解する能力は、様々な場面で役立つ。

2.自己理解に関する学び

  • 得意なことと苦手なことを知る: 同じ作業を続けることで、自分の得意なことや苦手なことが明確になる。
  • 新しいことに挑戦する大切さ: 様々な作業を経験することで、自己理解を深めることができる。
  • 仕事の喜び: 働くことで得られる充実感や達成感は、自己肯定感につながる。

3.自己の特性

  • 環境への適応力: 新しい環境に早く慣れることができる。
  • 変化への対応力: 状況の変化に対応し、柔軟に働き方を変えられる。

4.まとめ

  • コミュニケーション能力は、観察力、共感力、そして柔軟性が重要である。
  • 自己理解を深めることで、自分の強みを生かし、弱みを克服できる。
  • 新しいことに挑戦することは、成長の機会となる。
  • 働くことは、経済的な自立だけでなく、精神的な満足感も得られる。
  • 作業所では社会参加している自覚を得られる。

第17章:パニック発作の克服とトラウマ

地域活動支援センターでは、お花見、球技大会、夏祭りなど、さまざまなレクリエーションを楽しんでいました。しかし、体調を崩して以来、乗り物に乗ることに強い不安を感じ、パニック発作を起こしてしまうのではないかと心配していました。

そこで、少しずつ乗り物に慣れるための対策を立て、実行に移しました。まず、電車やバスに一駅だけ乗ってみることから始め、不安を感じたら空いている時間帯に変更するなど、自分に合った方法を探しました。慣れてきたら、乗る時間を少しずつ増やしていき、焦らずに自分のペースで取り組むことを心がけました。また、頓服薬や水、ガムなどを持ち歩き、イヤホンで音楽を聴くなど、リラックスできる工夫もしました。

何度も挑戦した結果、乗り物に乗ることへの恐怖心を克服し、小旅行も楽しめるようになりました。さらに、センターで知り合った友人とプライベートで遊ぶようになり、充実した日々を送っていました。ここまで平穏な日々は初めてでした。

前のクリニックでは統合失調症と診断されましたが、ここのクリニックでは自律神経失調症1と診断されたことに疑問に思っています。なぜ病名が異なるのか、誤診の可能性や、複数の病名が考えられるのか、主治医に質問したのですが、十分に納得できる回答を得られませんでした。

数年が経ち、新たな一歩を踏み出そうと決意しました。しかし、以前の職場での経験が、心の深い傷として残っています。服薬していることが上司に知られ、その場で退職を迫られ、やむを得ず会社を辞めることになったのです。当時は、会社都合の退職であれば退職金が支払われないという規則があることを知り、強いショックを受けました。

あの経験は、精神疾患に対する周囲の理解の薄さを痛感させられるものでした。インターネットが普及しておらず、精神疾患に関する正しい情報を得る機会も限られていたため、孤独感を深めました。仕事上のミスではなく、精神疾患が原因で解雇されたという事実は、いまだに心の深い傷として残っています。その経験から、福祉に関わる方であってもすべての人を全面的に信頼するのは難しいと感じています。

パニック発作の克服と過去のトラウマから学んだこと

1. 精神疾患と向き合い、克服する力

  • 具体的な行動: 乗り物に乗る不安克服のために、段階的な取り組みやリラックス法を自ら実践しました。
  • 周囲とのつながり: 地域活動支援センターで友人と出会い、新たな人間関係を築きました。
  • 自己肯定感: 以前より充実した日々を送れるようになったという記述から、自己肯定感が高まっていることがうかがえます。

2. 医療機関との関係性と診断への疑問

  • 診断の相違: 複数の医療機関で異なる診断を受けたことへの疑問を持ち、主治医に質問した経験は、医療機関との対話の重要性を示しています。
  • 納得のいく説明: 十分な説明が得られなかったという経験は、医療者と患者間のコミュニケーションの課題を浮き彫りにします。

3. 職場での差別と精神疾患に対する社会の理解

  • 精神疾患に対する偏見: 職場での経験は、精神疾患に対する社会の理解不足を痛感させられるものでした。
  • 心の傷: 不当な扱いを受けた経験は、深い心の傷として残っており、人への不信感を抱くようになったことがわかります。

4. 情報不足と孤独感

  • 情報へのアクセス: インターネットが普及していなかった時代には、精神疾患に関する正しい情報を得ることが難しく、孤独感を深めたという経験は、情報提供の重要性を示唆しています。

5.まとめ

  • 精神疾患は、個人差があり、診断も複雑である
    • 複数の医療機関で異なる診断を受けることは、珍しいことではありません。
    • 患者は、自分の状態を理解し、適切な治療を受けるために、複数の意見を聞き、自ら情報収集することが重要です。
  • 精神疾患に対する社会の理解不足は依然として存在する
    • 職場での差別や偏見は、いまだに根強く残っています。
    • 精神疾患を持つ人が安心して暮らせる社会を実現するためには、社会全体の意識改革が求められます。
  • 患者は、孤立せず、周囲の人とつながることが大切
    • 地域活動支援センターのような場所や、信頼できる友人とのつながりは、心の支えとなります。
  • 医療者と患者間のコミュニケーションが重要
    • 患者は、自分の疑問や不安を医師に率直に伝えることが大切です。
    • 医師は、患者に対して丁寧な説明を行い、信頼関係を築くことが求められます。
  • 精神疾患は身近な病気であること: 多くの人が経験する可能性があり、決して特別なものではないという認識の重要性。
  • 体調の安定に必要な要素: 経済的な余裕、適切なサポート、信頼できる医師や医療機関とのつながりの重要性。
  • 緊急時の対応: 患者一人ひとりの状況に合わせた、よりきめ細かい支援体制の必要性。
  • 孤立化の問題: 特に身寄りのない方は、自身の体調の変化に気付きにくく、適切な支援を受けられない可能性があること。

6.今後の社会への展望

  • 精神疾患に対する理解の促進: 精神疾患は誰にでも起こりうる身近な病気であるという認識を社会全体で共有する。
  • 経済的な支援: 治療費や生活費の支援など、経済的な問題を抱える患者に対する支援を充実させる。
  • 適切な医療体制の構築: 患者一人ひとりの状況に合わせた、よりきめ細かい医療を提供できる体制を構築する。
  • 緊急時の対応体制の強化: 緊急時に患者に迅速な支援を提供できる体制を整備する。
  • 孤立化防止策: 身寄りのない人や孤立しがちな人に対する支援を強化する。

to be continued

脚注

  1. 自律神経失調症とは、簡単に言うと、自律神経のバランスが崩れてしまい、様々な身体の不調が現れる状態のことです。自律神経失調症は、具体的な病気というよりは、様々な症状を総称したものです。(AI Chat bot Geminiより) ↩︎

※この情報は一般的な情報であり、医療アドバイスではありません。病気の診断や治療については、必ず医師にご相談ください。

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