就労継続支援B型事業所に通うと何がいいのか?
就労継続支援B型事業所に通う大きなポイントのひとつとして、その日に行った作業分の工賃が得られるところによく目が行きがちですが、就労継続支援B型事業所には「働いて工賃をもらう」以外にも、様々な役割や得られる能力があります。一般就労を目指すのに必要最低限のスキルや能力が得られるといっても過言はないでしょう。今回は、それらの一部を紹介し、工賃以外の魅力について迫っていきたいと思います。
多くの人々と一緒に作業をするから得られる能力
就労継続支援B型事業所では、基本的に20人程度の利用者が働ける環境を整えています。事業所によっても利用者数は変動しますが、基本的には随時5~10人の利用者がいるという環境を前提にお話しします。
コミュニケーション能力が培われる
就労継続支援B型事業所で主に行われている作業内容は、農業や製造作業が多く、ひとりで黙々と作業をこなすものも少なくはないですが、ほとんどが何かしらの形で人とかかわりながら仕上げていきます。また、朝礼時や終礼時の連絡事項や作業報告、利用者同士で次月の取り組みを話し合うなど、自然な形で周囲の人々と会話ができるような仕組みを取り入れていることも多いです。はじめは苦手であっても少しずつ自分の話をしたり、人の話を聞く姿勢を培っていきます。これは、一般就労を目指すにあたり非常に重要なことで、言葉を相手に伝えるためにはどうすればいいのか。などのコミュニケーションの基本を学ぶことができるのです。
人とかかわりのある生活で満たされる
就労継続支援B型を利用するかたのなかには、事業所へ出向かなければほとんど人とのかかわりが日常生活の中で少ないかたも多くいらっしゃいます。人間だれしも、かかわりが希薄になればなるほど、ふさぎ込んでしまいますし、一人きりの時間が長すぎることはメンタルヘルス的にも良いとは思えないですよね。事業所に出向き、人と話すだけでも生活に張りが出たとおっしゃるかたも少なくありません。あくまでも就業訓練を受ける場所だとはいっても、働きにでることで生活の充実感が増すことを実感していただくことも立派な訓練の一つだと私は思います。通い始めるきっかけの一つとして、人とのかかわりを求めて来所する方も少なくないようです。
スキルの向上が期待できる
一口に就労継続支援B型事業所といっても、行っている作業内容は多種多様です。パン作りを主としているところや工場などでの製造、カフェの経営、手作り小物の作製やPCを使用した軽作業など多岐にわたります。しかしそれらに共通していえることは、それらの専門的なスキルを取得できるということ。
例えば、パン作りを行っているところであれば、パンの生成はもちろんですが、同時に店舗での販売を行っている事業所も多いので、店舗を運営するのに必要な掃除のスキルや接客、レジの扱い方なども学べます。PCを使用し作業を行う事業所では、Wordやエクセルの簡単な操作方法やPCの扱い方などを学ぶことができるのです。これらを日常生活のなかで目にする一般的な職業に置き換えてみますと、レジの操作やお金の計算ができれば、スーパーで働ける可能性も出てきますし、PCが使えれば企業の事務などで働くこともできるかもしれません。就労継続支援を利用することにより社会で活用できる可能性を高められるスキルを働きながら取得できるのです。
働くだけじゃない就労継続支援B型
ただただ働くということを訓練する場所ではないのが就労継続支援です。季節折々にはその季節にあったイベントが模様されています。たとえば、春にはお花見、夏にはバーベキュー、秋にはハロウィン、冬はクリスマスなど数か月に1度レクレーションを行っているのです。ただのリフレッシュではなく、毎度何か学びがあるのも特徴の一つです。これらのイベントごとは一人きりで行うことはなかなか難しいですよね。協調性や積極性、自主性などレクレーションを行うなかで培っていくのです。
まとめ
さて、ここまで就労継続支援B型に通うと何がいいのかについてお話させていただきました。「コミュニケーション能力の向上」「人とのかかわりによる心の充実」「社会での活躍の可能性を高めるスキルの獲得」「レクレーションによる協調性や自主性」などいろんな面で利点があったと思います。そのほかにも、他人のいる環境で働くことによって、困りごとがあったら人に頼るという生きる上で大切なことでも学びがあると思います。工賃だけを基準としてみるだけではなく、そのほかの要因も視野にいれて就労継続支援B型の利用を検討してみたり、今通っているかたも改めて違う角度からも事業所のことを見ていただけるととてもうれしいです。