発達障害当事者が語る聴覚過敏の現実

こんにちは。発達障害当事者(ASD/ADHD)支援員のLです。
発達障害によく見られる聴覚過敏について記事を書こうと思います。

目次

聴覚過敏あるある

発達障害には感覚過敏という特性があり、その一つに聴覚過敏があります。聴覚過敏を持つ人々は、日常生活の中で特定の音に対して過剰に敏感に反応し、これが様々な困りごとを引き起こすことがあります。ここでは、私が経験してきた「聴覚過敏あるある」な状況を紹介します。

人の話し声や物音が不快に感じられる

個人的に、人の話し声や物音自体が苦手というわけではなく、その音声に含まれる情報が勝手に脳に入り込んでくることがストレスなのです。特に関心のない他人の雑談がまるで受動喫煙のように、不愉快で避けたいものに感じられます。

例えば、電車で近くの人たちの大声での会話や職場での他人の何気ないおしゃべりが耳に入ってくると、その度に意識がそちらに向いてしまい、仕事の効率が下がるだけでなく、精神的な疲れも増してしまいます。こうした受動的な音の情報は、自分のコントロール外で入ってくるため、非常にストレスフルな状況を作り出します。

特に自閉スペクトラム症(ASD)の人は日々多くの刺激を受け、それに勝手に反応してしまうことが多いため、適宜情報を遮断して自分を守ることが大切です。

必要な音や話を聞き取れない

逆に、必要な音や話を聞き取るのが難しい場面も多々あります。

例えば、電話対応をする際に電話の向こう側からの話を聞こうとしても、電話回線の電流の雑音や周囲の環境音が気になり、相手の声がしっかりと聞き取れないことがよくあります。また、グループディスカッションなどを要する授業で、みんなが一斉に話し始めると、教室内が非常に騒がしくなり、目の前の人の声を聞き取るのが一層難しくなります。

そのため、相手に何度も聞き返す必要が生じ、コミュニケーションに支障をきたすのです。

考えられる理由として、近くにいる人の話し声も、環境音も、耳に入るすべての音が同じボリュームに聞こえるからです。人間の脳には人の話し声など重要な音だけ拾って、重要でない環境音などを小さくする調整機能選択的注意と言われる)があるそうですが、特に自閉スペクトラム症(ASD)の人にその機能が動作しない場合があります。

聴覚過敏について対処できることは?

自分を理解し、自分を受け入れて、周りにも理解してもらう

まず、自分が聴覚過敏であることを認識し、自分自身を受け入れることが重要です。

また、家族や友人、職場の同僚にもこの特性を理解してもらうことで、周囲のサポートを得やすくなります。自分の状態を正直に伝えることで、周りも協力しやすくなり、共に快適な環境を作り出すことができます。

無理せず、ストレス源から離れる

聴覚過敏が強くなってきたと感じたら、無理せずその場を離れることも大切です。

例えば、職場であれば一時的にオフィス外など静かな場所に避難する、イヤホンで好きな音楽をかけてそれに注意を向けるなど、自分にとって快適な環境を作り出す工夫をしましょう。

聴覚情報の他に、視覚情報でコミュニケーションをとる

聴覚過敏が原因で音声でのコミュニケーションが困難な場合、視覚情報を活用することが効果的です。

例えば、電話でのやり取りが難しい場合は、メールやメッセージアプリを使って連絡を取ることができます。また、会議の際にも、アジェンダを事前に用意し、内容を視覚的に確認しながら進行することで、聴覚に頼らずにコミュニケーションを円滑にすることができます。

まとめ

  • 聴覚過敏は、発達障害を持つ多くの人々にとって日常生活の大きな障害となります。
  • 音に対する過剰な敏感さからくるストレスや疲労は、生活の質を大きく左右します。
  • 自分が聴覚過敏であることを理解し、受け入れることが第一歩です。
  • 家族や友人、職場の同僚にもこの特性を理解してもらい、必要なサポートを得ることが大切です。
  • 耳栓やノイズキャンセリングイヤホンを使う、静かな場所に移動する、視覚情報を活用するなどの具体的な対策も有効です。

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